万葉集その百四十三(新年の歌)

 「 わが門に新年来たり  あら玉の祝言(ほぎごと)云ひぬ
  おめでたう 努め給へや  本年は君の年なり 

  手みやげの希望は持たず  希望せよ富士の山ほど
  おめでたう 独立日本の 野に山に光みちたり 」 
          ( 佐藤春夫;新年来る) より             
    
                                            
今年の干支は「子」。
「子」という字は「孳」(ジ)という漢字と同義とされております。 
                       
「孳」の上部の「茲」は草の芽がどんどん伸びて成長するさまをさし
、また「子」は子供の頭髪が伸びる様子を表わした象形文字で
「茲+子」で「子供をたくさん生んで子孫をふやす」という
意味をもつところから「子」に鼠が当てられたそうです。
                                                       
 「 初春の初子(はつね)の今日の玉箒(たまばはき)
   手に取るからに揺らく玉の緒 」 
            巻20-4493 大伴家持


( 初春の初子の今日、お上から玉箒を賜りました。
  手に取ると玉がゆらゆらと揺れ妙なる音を立てます。 
  何とめでたい佳き日でしょか )

758年正月3日の最初の子の日に宮中で天皇、皇后自ら
農耕、養蚕をすることを意味して鋤と箒を神前に供えられました。

玉箒とは玉の飾りをつけた箒でこれを揺らすと魂が活発に動き邪気を払うとされ、
群臣達は天皇からこの玉箒を拝領したのち新年の宴会に連なったそうです。

華やかに「初春」「初子」「玉箒」「玉の緒」と「の」で繋いだリズムは快く響き、
玉がかすかに触れ合う「たまゆら(玉響)」がいまにも聞こえてきそうな
「新春にふさわしい生命への祝福をこめた一首」(中西進)です。

この日に使われた「玉箒」は正倉院南倉に現存しており、
色とりどりの瑠璃(ガラス)がちりばめられ、根元を金糸で束ねた美麗なもので
当時の華やかな宴会の様子が偲ばれます。

 「 物皆(ものみな)は 新(あら)たしきよし ただしくも
    人は古りにし よろしかるべし 」 
        巻10-1885 作者未詳


( 物はすべて新しいものがよい。
  でも、人様だけは長寿老年も悪くないですなぁ。)

長年の親しき友人たちも「古りにしよろしかるべし」。
大切にしたいものです。

「新しき」は「あらたしき」と訓み「改まる」と関係がある言葉とされています。

 「 新(あらた)しき年の初めに思ふどち
   い群れて居れば嬉しくもあるか 」 
       巻19-4284 道祖王(ふなどのおほきみ)


( 新しい年の初めにこうやって打ち解けたもの同士が集うのは何よりも
  嬉しいことですね) 

  さぁさぁ、今年も楽しくやりましょうや。
  本年もどうぞよろしくお願いします。

 「 酒もすき餅もすきなり今朝の春 」 高浜虚子
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by uqrx74fd | 2009-03-08 12:02 | 生活

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