万葉集その七十六(天覧相撲)

天覧相撲の起源は4世紀前半(推定)、垂仁天皇ご臨席の下で
野見宿禰(のみのすくね)が当麻蹶速(たいまのけはや)と
取った相撲とされています。(日本書紀)

734年7月7日、聖武天皇の時代に豊作を祈る公式行事として
相撲節会(すまいせちえ)が宮中で行われ、源平争乱で廃絶になる
1174年まで続けられました。

今日の天覧相撲もこのような長い歴史を踏まえたものでありましょう。

万葉集には「相撲を取る歌」はありませんが相撲使の役人が
諸国から力士を選別して都に上る途中18歳の若い従者
大伴熊凝(くまごり)が急病で亡くなりそれを悼んで
本人になり代わって詠った歌が伝えられています。

相撲史を知るうえでの貴重な記録です。

「出(い)でて行(ゆ)きし日を数へつつ今日(けふ)今日と
    我(あ)を 待たすらむ 父母らはも 」  
            巻5の890 山上憶良


( 私が出発した日を、もう何日経ったかと数えながら
  今日こそはと私の帰りを待っておられるであろう父母よ--
  あぁ・・・)

以下は万葉集番外、相撲特集です。

トトン トトン トントトトン 
櫓(やぐら)太鼓の音が風に乗って聞こえてきます。

大相撲秋場所は今やたけなわ。
まずは華やかな「まわし」をつけた力士の勢ぞろいです。

「 相撲取り 並ぶや 秋の 唐錦 」 嵐雪

引き続いて三番勝負

「 舞の海が 三所攻(みところぜめ)で勝つさまを
     眼前に見き 今年のさいはひ 」   
                     高野公彦


 三所攻め: 相撲の手の一つ。
         相手に内股をかけ、他方の足をすくうように投げ抱え
         体を浴びせるようにして倒す

「 土俵際 身を撓(たわ)ませて 堪(こら)へたる
    一途のちから 見るに 圧(お)さるる 」 吉井 勇

いよいよ結びの一番

「 横綱の 敗れたるのち 弓取りに
     出でくる力士 寂しかるらん 」   島田修二


勝った力士は見物客がひしめき合う通路を大歓声に送られながら
謙虚にしかも堂々と引き揚げていきます。

 「 やはらかに 人分け行くや 勝相撲 」 
                      几董(きとう)

[PR]

by uqrx74fd | 2009-03-08 10:55 | 生活

<< 万葉集その七十七(撫子:なでしこ)    万葉集その七十五(仲秋の名月) >>