万葉集その四百十五 (梅を訪ねて:曽我梅林)

( 曽我梅林からの富士山  2013,3、6 撮影)
b0162728_10482554.jpg

( 曽我梅林  同上 )
b0162728_10484594.jpg

(  同上 )
b0162728_1049090.jpg

(  同上 )
b0162728_10491560.jpg

(  同上 )
b0162728_1049231.jpg

( 雪か花か  同上 )
b0162728_10494331.jpg

( 流れる花 同上  )
b0162728_10495349.jpg

( 花の舞  同上 )
b0162728_10501611.jpg

「 青梅の 道にころがる 曽我の里 」 横山玄水

日ざしが日ごとにやわらかくなり梅の便りが届きはじめると、急に外出の虫が
うずいてまいります。
水戸偕楽園、熱海、湯河原、曽我、吉野梅林、それとも関西に足を伸ばして月ヶ瀬、
賀名生(あのう)、次々と思い浮かんでくる梅の里。

何処へ行こうかと思案しながら、まずは満開と伝えられている曽我梅林を訪ねる
ことにしました。

「 いつしかも この夜の明けむ  うぐひすの
       木伝(こづた)ひ 散らす 梅の花見む 」 
                           巻10-1873  作者未詳

  ( いつになったら夜が明けるのであろうか。 
    鶯が枝から枝へと飛び移っては散らす梅の花。
   その花を早くみたいものだ )

明朝の梅見を前にして寝もやらぬ作者。
遠足前の子供と同じ心境です。
天気は大丈夫かな?

朝5時半に出発。
東京駅から東海道線で国府津へ、御殿場線に乗り換えて下曽我駅で下車。
どうやら一番乗りらしく、人がほとんどいません。

飛び切りの快晴、富士山もくっきりと姿を見せてくれました。
これは幸先がよい旅になりそうだと身も心も浮き浮きしながら歩きはじめると
10分も経たないうちに白一色の梅の世界です。

聞くところによると、この地域一帯に3万5千本の木が植えられているとか。
小田原の覇者、北条氏の時代から弁当に用いる梅干しを作るために大々的に植えられ、
江戸時代には箱根越えを控えて需要が飛躍的に増大したといわれています。
温暖な気候と水はけのよい土質、塩田を控えた立地条件の良さが梅干し作りに
最適だったそうです。
このような経緯から白梅が多く植えられていますが、しだれ梅や紅梅もふんだんにあり、
畑の間から臨む富士山が惚れ惚れするほど美しい。

「 万代(よろづよ)に 年は来経(きふ)とも 梅の花
     絶ゆることなく 咲きわたるべし 」
                    巻5-830 佐氏子 首 (さじのこ おびと)


( 万代ののちまでも 春の行き来があろうとも この素晴らしい梅の花は
 絶えることなく咲き続けてもらいたいものだ )

と口づさみたくなるような見事な花また花。
低い木が多いせいか濃厚な香りが馥郁と漂ってきます。
小高い所から眺める畑は、まるで霞か雲が棚引いているようです。

折から、幼稚園の子供たちがリユックを背負って近づいてきました。
お花見の遠足なのでしょうか。
「こんにちは」「こんにちは」と可愛い声で挨拶をしてくれ、こちらも
笑顔で応えます。

2時間ばかり歩いた後、中ほどにある茶店で梅茶と大きな五平餅を求めて一服。
上を見上げると空を覆うばかりの花が雪のようです。

「 わが園に 梅の花散る ひさかたの
    天(あめ)より雪の 流れくるかも 」 
                  巻5の822 大伴旅人(既出)


( あれっ 梅の花びらが空から降ってくる。
 まるで雪が流れてくるようだね )
 
ひらひらと舞い落ちてくる花びらが風にあおられて吹き上がり、やがて
地面を白く覆い尽くしてゆきます。
「流れる」という斬新な表現。
時の流れ、無常の意味も込められているようです。

しばしの休息を終えて再び歩きはじめると、少し先の華やかな一角が目を引きます。
しだれ梅の枝が四方八方に伸び、白梅、紅梅、桃梅が入り混じって百花繚乱。
梅林の中でも特別に美しく、木の下に寝転んでうっとりと眺めている人もいました。

観光バスが立ち寄らない曽我梅林は訪客が比較的少ない上、敷地が広いので、
ゆっくりと散策を楽しむことが出来ます。
畑に徹しているので野趣があり他の梅の里とは違った雰囲気です。

富士山を拝めるかどうかは運次第。
4年目にして初めて霊峰を目の当たりにした感激は一入でした。

今日(3月6日)は2月から始まった梅祭りの最終日。
明日からは農家の人たちが一斉に作業をされるそうです。

ぽかぽか陽気に恵まれた楽しい散策。
来年もまた訪れたいものだと思いつつ美味い魚を求めて小田原へ向かいました。

 「 下曽我や 春の入日に 富士浮かぶ 」   高木良多

[PR]

by uqrx74fd | 2013-03-16 10:51 | 植物

<< 万葉集その四百十六 (梅の里)    万葉集その四百十四 (雪中梅) >>