万葉集その四百六十三(寒梅)

(凍てつく梅の蕾  自宅にて) 
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( 筑波山にて )
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( 同上 )
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( 皇居東御苑 )
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( 同上 )
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( 同上 )
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( 同上 )
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( 曽我梅林)
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「 二月(きさらぎ)に入りて二度目の雪降りぬ
        雪降るなかの 白梅紅梅 」     宮 柊二


立春の雪、続いて観測史上でも稀な記録的大雪。
たった数日の雪かきに追われただけでも腰が痛いと悲鳴をあげる都会人。
雪国の方々のご苦労が身に染みて実感させられる今年の二月です。

「 今さらに 雪降らめやも かぎろいの
     燃ゆる春へと なりにしものを 」 
                 巻10の1835 作者未詳(既出)


( 陽炎(かげろう)の燃え立つ春になったのに、なんで今さら雪なんか降るんだろう
 もう沢山,沢山。 勘弁してちょうだい。 )

古代、豊作をもたらすものと歓迎された天からの使者も度が過ぎると
「もう、お引取り下さいな」と敬遠された珍しい一首。
「今さらに」が強く響きます。

「 梅の花 咲き散り過ぎぬ しかすがに
   白雪庭に 降りしきりつつ」 
                巻8-1834 作者未詳


( 梅の花はとっくに散ってしまった。
 それなのに まだ庭に雪がしきりに降っているよ )

現在の3月上旬ころでしょうか。
異常天気に見舞われたのか、梅が散ったあとも降り続く雪。

万葉時代、紅梅はまだ渡来していませんでした。
そのためか雪と梅とを取り合わせた白の世界が多く詠われています。

「今日(けふ)降りし 雪に競(きほ)ひて 我がやどの
   冬木の梅は 花咲きにけり 」   
                          巻8-1649 大伴家持


( 今日降った雪に負けまいとして、我家の冬木の梅は 
  真っ白な花を咲かせたよ)

作者は
「今日は雪、降り積もった庭が美しい。
梅も負けまいと白い花を咲かせたわい。」
と詠ったように見えますが、どうやら「冬木の梅」が曲者のようです。

「冬木」とは葉や花を付けていない木をさす言葉とされている(伊藤博)ので
この歌は、雪を白梅に見立てて興じ、その奥に梅の開花を
待望する心が含まれているように思われます。

雪を眺めながら満開の梅を幻視している作者。
趣深い秀作です。

「 梅の花 降り覆(おは)ふ雪を 包み持ち
   君に見せむと 取れば消(け)につつ 」 
                    巻10-1833 作者未詳

( 雪が梅の花に降り積もりました。
 あなた様にお見せしょうと手に包みましたが、
 あっという間に消えてしまって )

ちょうど今の季節と同じような状態なのでしょうか。
満開の梅、その上に降り積もった雪。
「 折角 彼に見せようと思ったのに」と嘆く愛らしい乙女です。

「 夜光る 梅のつぼみや 貝の玉 」 其角

我家の梅はまだ小さく固い蕾のまま。
その枝に立春の夜の雪。
凍てついた蕾はいかにも寒そうでした。
でも、今年は早咲きが多いのか大雪にもかかわらず遠近(おちこち)から花便り届いています。

皇居東御苑の紅梅白梅も「春が来たよ」と告げるかのように一斉に花開きました。

 「 鶯の 蹴立てによるか 梅の雪 」  支考
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by uqrx74fd | 2014-02-14 08:06 | 植物

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