万葉集その五百六 (吉城川:よしきがわ)

( 吉城川  奈良公園 東大寺南大門前 )
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( 同上 )
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( 左 依水園 中央 吉城川 右 吉城園 )
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( 吉城園 )
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(  同上 )
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(  同上 )
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( 依水園 後方 若草山 東大寺南大門 )
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( 依水園 吉城川から流れる水 )
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( 氷室神社の枝垂桜 )
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吉城川は御蓋山(みかさやま)の上流、水屋峰を源とし隣の若草山との間から
東大寺南大門前を経て佐保川にいたる川で、古くは宜寸川(よしきがわ)と書かれました。

平城京の時代、水屋峰は気温が低く厚い氷が張ったので、冬の間に切り出して
幾重もの藁や草に包んで氷室に貯蔵し、夏に宮中に献上、大宮人たちはこの氷で
オンザロックを飲んでいたという記録も残ります。
中世になると氷室は氷室神社として現在の奈良国立博物館の近くに移され、
毎年5月1日、古式ゆかしい献氷祭がおこなわれています。
また、社前の巨大な枝垂桜の枝振りも見事です。

吉城川は水量が少ないため川底の岩が露出しているところが多く、公園で遊ぶ鹿の
水飲み場になっており、また、川の両岸に多くの楓が植えられているので紅葉撮影の
穴場でもあります。

万葉集での吉城川は1首のみ、それも恋歌です。

 
「 我妹子(わぎもこ)に 衣春日の(ころもかすがの) 宜寸川(よしきがわ)
            よしもあらぬか 妹が目を見む 」 
                                       巻12-3011 作者未詳

( いとしい子に 衣を貸すという春日の宜寸川(よしきがわ)
 その名のように何かよい方法がないだろうか。
 あの子に逢いたくてしょうがないんだ。)

「衣 貸す」と「かすが(春日)」の「かす」、「吉城川」の「よし」と「よしもあらぬか」の「よし」が
二重に懸けられている言葉遊びです。

「よしもあらぬか」は「縁(よし)もあらぬか」で「手掛かりがないだろうか」の意。
 
「衣貸す」は共寝の時にお互いの衣を交換して敷いて寝ることをいい、
「 逢って寝たい、なにかいい方法がないだろうか 」と悩む男です。

東大寺の近くに吉城園、依水園(国の名勝)という美しい日本庭園があり
両園の間を吉城川が流れています。
吉城園は周辺一帯地下水脈が豊富に流れ込んでいるため庭全面が苔に覆われており、
秋深まる頃、緑苔に赤、黄葉が散り敷くさまは、えも言われぬ美しさ。
茶室もあり一服戴きながら、はらはらと風に流れる紅葉を眺めると
別世界の感があります。

依水園は川の流れを庭園に引き込んでいるため
「吉城川の水に依って作られた庭園」即ち「依水園」の名があると云われ、
東大寺南大門、若草山を借景とした景観は見事。
( 名については杜甫の漢詩「名園依緑水」によるという説もあり)

とりわけ巨大なドウダンツツジの燃えるような赤色が映えている様は素晴らしく、
奈良には珍しい池泉回遊式庭園です。

古びた建物の中で庭園を眺めながら「むぎとろ」を戴くのもよし。

    「依水園の 紅葉の中の とろろ茶屋 」 近藤正
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by uqrx74fd | 2014-12-11 22:45 | 自然

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