2015年 02月 05日
万葉集その五百十四 (初梅)
( メジロ 同上 )
( 同上 )
( 白梅の開花は数輪 同上 )
立春を過ぎると気持ちが華やぎ「梅はまだかいな」とそわそわいたします。
冬枯れの中に春の兆しを探り、花に出会えなくても「それはそれでよろしい」と
心得るのが探梅の心馳せだそうですが、「せめて一輪なりとも」と期待するのが凡夫の悲しさ。
寒風吹きすさぶ中、皇居東御苑に出かけました。
数日前に雪が降り、日射しの当たらない石垣の下には斑模様の白い塊が残っています。
緑鮮やかな松、黄金色の実をたわわに付けた橘の他は寂寥とした冬景色。
裸の桜並木はいかにも寒そうです。
近づいて枝の先をよく見ると小さな蕾がほんの少しだけ頭を出し「何時出ようかな」と思案気のよう。
「さぁて 梅は 」と見渡すと白梅が一輪また一輪、紅梅は七分咲。
先ずは満足しながら「もう十日も経てば見頃かな」思いながらゆっくりと
坂道を下って行きました。
すると、何と! 満開の梅が枝を大きく広げているではありませんか。
しかも艶やかなピンク色です。
「 霜雪も いまだ過ぎねば 思はぬに
春日の里に 梅の花見つ 」
巻8-1434 大伴宿禰三林(既出)
( 霜も雪もまだ消えやらぬのに 思いもかけず春日の里で 梅の花を見たことよ )
「春日の里に」を「御苑の庭に」と置き換えると我が心境にぴったり。
さらに幸運にもメジロが花を啄んでいるのです。
飛び交う度に枝花が揺れますが、散ることもなく静かに晴れやかに咲き続けています。
「 わがやどの 梅の下枝(しづえ)に 遊びつつ
うぐひす鳴くも 散らまく惜しみ 」
巻5-842 高氏海人(かうじ あま)
( この我らが庭の梅の下枝を飛びかいながら鶯が鳴き立てている。
花の散るのをいとおしんで )
メジロは鳴きませんでしたが、美しい羽色を存分に見せてくれました。
海外からの客さんも大喜び。
次から次へと記念撮影です。
「 梅の花 咲けるがなかに ふふめるは
恋か隠れる 雪を待つとか 」
巻19-4283 茨田 王(まむたの おほきみ)
( 梅の花 この花が咲いている中に まだ蕾のままのものがあるのは
訪れて来る人を待つ思いをこめてのことでしょうか
それとも、雪を待ってのことなのでしょうか )
古代、歌の世界では白梅と雪、鶯との取り合わせが好まれました。
散る花びらを雪のようだと詠い、美しい鳴き声にうっとりと聴き惚れ
春の訪れを寿いだのです。
梅の一角から離れるとまだ冬の世界ですが、大手門の近くに黄色い花。
近づくと馥郁とした香りが漂ってきました。
先駆けの花、蝋梅です。
これからは三寒四温の日々。
本格的な春の訪れも近いことでしょう。
「 探梅や 枝の先なる 梅の花 」 高野素十
by uqrx74fd | 2015-02-05 17:52 | 植物