万葉集その五百三十二 (豆の花咲く)

( えんどう豆の花  奈良 山辺の道 )
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(  同上 )
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(  同上 )
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(  ツルマメの花  yahoo画像検索 )
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( ヤブマメの花    同上 )
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(  大豆の花     同上 )
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( 貴族の食事  枝豆、チーズ 鮎、 鯛の和え物、鮑の雲丹和え、 瓜の粕漬け等なかなかのグルメ)
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( ノイバラ  奈良万葉植物園 )
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(  万葉という名の薔薇   京成薔薇園  千葉県  )
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「 さまざまな 色にほひたる 豆の花 」  筆者

薫風爽やかな ある日のことです。
「 国のまほろば たたなづく青垣」の山の辺の道を歩いていると、
蔓性の美しい花が咲き乱れていました。
スイトピーのような形をした色とりどりの豌豆(エンドウ)です。

近寄ってみると、莢(さや)も一杯。

思わず、あぁ、勿体ないなぁ!と呟く。

 「えんどうの 凛々たるを 朝な摘む 」  山口青邨 

と詠まれているように、この時期のみずみずしい緑色の莢は毎朝、早朝に摘んで
食するのが一番美味い。

さっと茹でてそのまま食べると甘く、
おすましの具、卵和えでもよし。

でも、このままグリンピースになるまで熟成させ豆ごはんするのもいいか。

 こんな楽しい想像をしながら万葉の世界に思いを馳せます。

 「 道の辺(へ)の 茨(うまら)の末(うれ)に 延(は)ほ豆の
         からまる君を 別(はか)れか 行かむ 」
                     巻20の4352 丈部 鳥(はせつかべのとり) (既出)

(  道端のうまらの枝先に からまりつく豆の蔓(つる)。
  その蔓のように別れを悲しんですがりつくわが妻よ。
  あぁ! いとしいお前を残して旅立たなければならないのか。)

作者は上総の国(千葉南部一帯)の人、防人として出発する時に詠われたもの。

「延(は)ほ豆」は方言で「延ふ豆」
「うまら」は「ノイバラ」とされ野生のツルバラ

もう二度と逢えないかも知れない別離。
すがりつくような必死の目ざなし。
素朴な詠いぶりながら愛し合う二人の深い悲しみがひしひしと伝わってくる
一首です。

マメは野性のヤブマメかツルマメと思われ、大豆の原生種とする説も。
 
なお、万葉集での「君」は男性や主君をさすのが習いとされているので、
「 主君の幼い若君が近習である作者を慕って離れない」とする説(伊藤博)も
ありますが、ここでは愛する女性の方がしっくりくるような気がします。

万葉集唯一の「豆」と「ノイバラ:野薔薇」です。

「  酒よろし さやえんどうの 味もよし 」    上村占魚

夏の酒のつまみには枝豆、冷奴も欠かせません。
風呂上りに冷えたビール。
採れたてをさっと塩ゆでした枝豆。
生姜と削りかつおをたっぷりのせた冷奴。
極楽、極楽。

以下は 「池波正太郎 わが家の夕めし 冷奴 」からです。

『 豆腐の製法が日本に伝わったのは、奈良時代のことだという。
  この栄養に富んだ食物の由来は、だから、まことに古い。
  いうまでもなく、豆腐は大豆をすりつぶし、これを煮立ててつくるものだ。
  ― 「冷奴」の「奴」の由来は、江戸時代の槍持ち奴などが着ていた
  制服の紋所から生まれたものである。
  およそ1寸角に切った豆腐の形が似ているからだ。

  冷奴は庶民の食べ物で、私どもには絹ごしの上等な豆腐では似合わぬ。
  木綿でこしたのを奴に切り、生醤油へ少々酒をまぜた付醤油で、
青紫蘇(あおじそ)と晒葱(さらしねぎ)の薬味で食べる。 』 (講談社文庫より)

                   筆者注:「晒し葱」
                     葱を千切りにし水に晒して余分な辛み、粘り,臭みを抜いたもの

    「 晩酌の くせのつきたる 冷奴 」 松山聲子
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by uqrx74fd | 2015-06-11 18:07 | 植物

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