万葉集その六百十五 ( 梅よ春よ )

( 初梅 六義園 東京  2017,1,4 )
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( 皇居東御苑  2017,1,7 )
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( 白梅、紅梅  皇居東御苑 )
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(  紅梅   同上 )
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(  メジロも飛んできました  同上 )
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(  椿も花開く  同上 )
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(  月ヶ瀬梅林  奈良 )
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(  山の辺の道  奈良 )
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( 梅と菜の花      浜離宮庭園 )
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(  曽我梅林 )
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今年の1月4日のことです。
暖かい日ざしを浴びて東京は駒込、六義園へ探梅に行きました。
「 花はなくてもよいが、せめて1輪なりとも」という心馳せ。
正月三ケ日明けの今日は人出も少なく、のんびりとした雰囲気です。

和歌の浦(和歌山)を模したといわれる回遊庭園を半分ばかり廻ったところが
お目当ての白梅。
「 おぉ! 咲いていました! 」  

 「 梅一輪 一輪ほどの あたたかさ 」 服部嵐雪

の句のとおり、ぽかぽか陽気に誘われて数輪の花が
芳しい香りを漂わせていたのです。

「 まぁ きれい!」 お隣にいた上品な奥様の嘆声。

一生懸命スマホで写真を撮っておられるが、距離が少し遠いせいか
なかなかうまく写らないようだ。
「 だめだわ 」と呟きながら
「よい香りですね 」と話しかけられる。

お話を聞くと暖かいので「もしやと思って出かけてきた」とのこと。
はやる気持ちはいずこも同じ。
「 数輪咲いていたのですから、これでよしとしないとね 」
とお互いに云い合いながら右と左へ。

さて、こちらは万葉人。

「 雪寒み 咲きには咲かぬ 梅の花
   よしこのころは かくてもあるがね 」 
                     巻10-2329 作者未詳

( 雪を寒がって いっこうに咲き揃おうとしない梅の花よ。
     それならまぁ、いましばらくこのままそっとしておくのもよかろう )

開花を今か今かと待ちわびる作者。
梅が寒くてすねているように感じ、まるで聞き分けのない幼児、
あるいは若い乙女に呼びかけているような感じが面白い。

「 白梅のあと 紅梅の 深空(みそら)あり 」 飯田龍太

時は1月7日、快晴、場所は皇居東御苑です。
日記を見ると昨年は2月1日に満開。
暖かい日が続くので、もしやと思いながら訪れる。

やはりというか、白梅3本、紅梅1本が八分咲き。
枯木が多い中ここだけ明るく照り輝いています。

周囲の人たちも歓声を上げ、海外からの客人も大喜びです。
今年は春の訪れが早いかもしれません。

さてまた万葉人です。

「 梅の花 咲けるがなかに ふふめるは
     恋か隠(こも)れる 雪を待つとか 」 
                    巻19-4283 茨田 王(まむたの おほきみ)

( 梅の花、この花が咲いている中に、まだ蕾のままのものがあるのは、
 恋する人が訪れてから咲こうと思っているのでしょうか。
 それとも、雪を待っているのでしょうか。)

753年 治部少輔 石上宅嗣宅で行われた正月の賀宴での歌。
当時、雪は梅の開花を促し、また落花をも誘うと認識されていました。

作者は、主人がまだ満開でないのは雪が降らないからだろうかと
気遣っているので、

「 花が咲いている中で蕾もありすばらしい。
  きっと雪を待っているのでしょうね 」 と応えたもの。

「 梅の花 咲ける岡辺(おかへ)に 家居れば
      乏(とも)しくもあらず  うぐいすの声 」 
                         巻10-1820 作者未詳

( 梅の花が咲いている岡のほとりに家を構えて住んでいると、
 鶯の声がふんだんに聞こえてくるよ。)

乏(とも)しくもあらず: 「乏し」は「求む」の形容詞形 
「あとをつけて行きたい」が原義。
ここでは「少ない」の意だが「あらず」と
否定が続くので「ふんだんに」

満開の梅を眺めながら、一献また一献。
ときおり 「ホーホケキョ 」と鳴く鶯の声。
麗(うらら)かな春の一日です。

  「 梅つばき 早咲きほめむ 保美(ほび)の里 」 芭蕉

 ( 昔、ある上皇が褒めたのでこの地を「保美(愛知県)」というらしい。
  私も梅、椿が早く咲く温暖な当地を称えましょう )

「保美の里」を「御所の里」に入れ替えると、
まさに筆者の心境でありました。


           万葉集615 (梅よ春よ )   完


           次回の更新は1月20日の予定です。

  
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by uqrx74fd | 2017-01-12 10:50 | 植物

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