万葉集その六百十六 (梅.椿.寒桜)

( 寒桜  小石川植物園  2017.1.13日撮影:以下同じ)
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( 同  青空に映えて美しい )
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(  ヤブツバキ        同上 )
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(  白ヤブツバキ      同上 )
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(  赤ヤブツバキ     同上 )
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(  フラグラントピンク  珍しい椿の名前です  同上 )
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(  白梅は満開    同上 )
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(  紅梅はちらほら    同上 )
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(  雪月花   梅の名前です )
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(  扇流し    これも梅の名前です )
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 「 地下鉄も 初日浴びゆく 小石川 」      福島 胖(はん)

本年3回目の植物園ブラ歩き、今回は小石川植物園(東京大学付属)です。
お目当ては寒櫻の大木と梅、椿。
地下鉄丸ノ内線、茗荷谷駅下車、桜並木で有名な播磨坂を下り、
徒歩20分ばかりで植物園の入口。
抜けるような青空、気温も16℃でそう寒くない。
にもかかわらず、人一人見当らず閑散としています。

約49000坪もある大庭園を独歩するなど、初めての経験。
こりや、のんびりと歩けるわい。
いつもは絶滅の恐れがある薬園保存のコーナーをゆっくり見て回りますが、
まだ冬眠中なので寒桜のある場所へ直行。

蕾ばかりの桜並木が途切れたところで1本の寒桜がでんと構え、
今が盛りと華やかに咲き誇っています。
数ある植物園でもこれだけの大木は珍しく、大きく広がった花枝は
青空に映えて美しい。
よく見ると蕾がまだまだ一杯。
あと1週間位は咲き続けていそうだが、誰も見に来ないのは勿体ないなぁ。

「 妹が手を 取りて引き攀(よ)じ ふさ手折り
     我がかざすべく 花咲けるかも 」 
                        巻9-1683 柿本人麻呂歌集

( あの子の手を取って引き寄せるというではないが、
  握って引き寄せ手折って私が翳(かざし)にするのに
 おあつらえ向きの桜が咲き誇っていますよ。)

作者が舎人皇子に宴席で奉った歌。

「 まるで美しい女性を自分のものにしたくなるような見事な桜が
  咲いていますね。」

と男の立場で女に誘いかける。
対する女は

「 春山は 散り過ぎぬとも 三輪山は
   いまだふふめり 君待ちかてに 」 
                         巻9-1684 柿本人麻呂歌集

( 春山の花はどこもかしこも散り果ててしまっていますが、
 三輪山の花だけはいまだ蕾のまま。
 あなたさまを待ちあぐねて。 )

一途にあなたをお待ちしていましたと応えた寸劇のような戯れ歌。
舎人皇子は天武天皇の皇子、人麻呂は歌の先生だったのでしょうか。

「簪(かざし)にする」とは花や柳などの木の枝を手折って髪飾りにしたり、
着物に挿して、その生命力を身に付けるという古代のお呪いです。

     「 寒桜 一本とても 大樹なり 」  筆者

寒桜を堪能したところで、裸の百日紅の大木群を経て針葉樹林へ。
木陰に紅白のヤブツバキが所狭しと咲いている。

「 あしひきの 山椿咲く 八つ峰(を)越え
      鹿(しし)待つ君が  斎(いは)ひ妻かも 」 
                               巻7-1262 作者未詳

( 山椿の咲く峰々を越えて鹿狩りしているあの方。
 わたしは、その帰りをただただ待っている巫女のような女か。)

斎(いは)ひ妻とは精進潔斎して男の無事を祈っている女。
鹿を他の女に譬え、他の女を追い掛けてばかりいる男を
恨めしいと感じているのかもしれません。

   「 仰向きに 椿の下を 通りけり 」 池内たけし

右に左にヤブツバキを愛でながら、日本庭園へ。

徳川5代将軍綱吉の幼時の居邸、白山御殿と蜷川能登守の屋敷跡とに
残された庭園が往時の姿をとどめていると伝えられている遠州派の名園。
その一角に100株ばかりの梅園があります。
そのうち5本の早咲き種が満開。

梅の木のもとでようやく可愛い子供連れの母親に出会いました。
花の下で楽しく笑い転げている親子。
お互いに「こんにちは」と声をかける。

「 ふふめりと 言ひし梅が枝 今朝降りし
    淡雪にあひて  咲きぬらむかも 」 
                         巻8-1436 大伴村上

( 蕾がふくらんでいるとあの人が云ってきた梅、
 その梅は 今朝降った淡雪に出会って 
 きっともう咲いていることだろう )

雪は梅の開花を促すものと信じられていました。
「ふふめり」とはふっくら膨らみ始めるの意。
乙女を連想させる美しい日本語です。

  「 紅梅の 咲きて幼児 頬赤し 」  筆者

日本庭園を通り過ぎると鷺が棲んでいる小さな池。
今日は池端で気持ちよさそうに日向ぼっこをしています。
飛んだところでシャッターを切ろうと待ち構えていましたが、
余程居心地がいいのか全く動きません。
諦めて雑木林の方に向かって歩く。
メタセコイアの巨木群、そして榛(はん)の木。
榛はハリの木ともいい前年の秋に生じた蕾がそのまま冬を越す生命力が強い木です。

これで広大な植物園巡りは終わり。
近くのお茶屋の甘酒で乾いた喉を潤す。
あぁ、美味い。
約2時間半の気持ちよい散策でした。

  「 園の茶屋 甘酒美味し 冬木立 」  筆者

 ( 甘酒は暑い最中にフウフウ云いながら飲むと美味しいので
   夏の季語とされていますが冬も美味いのだから、まぁいいか。)


     万葉集616( 梅.椿.寒桜 )  完



     次回の更新は1月27日(金)の予定です。
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by uqrx74fd | 2017-01-19 18:14 | 植物

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