万葉集その六百四十六 (鶏頭)


(鶏頭 とさか状の冠の下の扁平な部分が花)

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( 同上 )
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 (丸い鶏頭)
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( 色とりどりの鶏頭  飛鳥 奈良 )
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 ( 鶏頭咲く飛鳥 )
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万葉集その六百四十六 ( 鶏頭 )

鶏頭(けいとう)はインドや熱帯アジア原産のヒユ科の1年草で、
花穂の頂が鶏の赤い

トサカ状になるためその名があります。
このトサカ状のものを花と見がちですが、そうではなく、トサカ冠の下の
扁平になった部分にびっしり付いているのが小花で、
よくよく観察しないと、
見過ごしそう。
古くは韓藍(からあい)、すなわち韓(から:中国)から渡来した藍(染料)
よばれ、
万葉集に4首。
すべて庭で栽培されている花として詠われています。

「 秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし

        韓藍(からあゐ)の花を 誰()れか摘みけむ 」

71362  作者未詳

( 秋になったら移し染めにでもしょうと、私が蒔いておいた鶏頭の花。

その大事な花を一体誰が摘み取ってしまったのだろう。)

韓藍の花すなわち鶏頭は直播にして育て、秋に花汁を染料にしましたが、
ここでは自分の娘の譬え。

「移す」とは花を衣に直接摺りつけて染めることを言いますが、

結婚する、共寝するという意味にも用いられます。
大切に大切に育ててきたわが娘。

いずれ、頃合いをみはからって立派な男と結婚させようとしていたのに、

どこの誰が手をつけてしまったのだろうと嘆く母親。

あるいは、この子と結婚しょうと目を付けていたが、他人がさっさと

奪ってしまったと悔しがる男とも解釈できます。

「 隠(こも)りには 恋ひて死ぬとも み園生(そのふ)

     韓藍(からあゐ)の花 色に出でめやも 」  

112784 作者未詳

( あなたさまへの想いを心のうちに押し隠したまま苦しさに耐えましょう。

仮に焦がれ死にしましょうとも、庭に咲く鶏頭の花のように、

はっきり顔に出したりいたしません。 )

男が結婚をもう少し待ってくれ、他の人には内緒にして欲しいと云った。

むきになって応じたのは、惚れた女性の弱みか。

それでも、心の片隅のどこかで

「あなたほんとに大丈夫、心変わりしない」

という危惧が感じられる一首です。

「 恋ふる日の 日長(けなが)くしあれば 我が園の

    韓藍の花の  色に出でにけり  」 

102278  作者未詳

( あの方に恋してから、もうどのくらい日にちが経ったことだろう。

 我家に咲く鶏頭の花の鮮やかな色のように、とうとう私の気持ちを
表に出してしまった。)

こちらは余り長く待たされたので、とうとう口にも態度にも出してしまった。
相談した相手は母親なのでしょうか。

万葉集の鶏頭はすべて恋の歌。

属名「ケロシア」(ギリシャ語)は「燃える」の意。 

その鮮烈な赤色は恋するものにとってこの上もない表現材料だったのでしょう。

「 鶏頭の 十四五本も ありぬべし」 正岡子規

子規は病床から萩が枯れるのを見、迫りくる初冬の寒気を感じながら

塊となって咲いている鶏頭の野性の力強い姿に自らを励ましつつ、芭蕉の名句
「 鶏頭や 雁の来るとき 尚あかし」 芭蕉 

 

「なお」(赤し)の優雅さに対して、(十四五本)「も」と力強さで勝負した?


   万葉集646 (鶏頭)完

次回の更新は8月25日(金)の予定です。


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by uqrx74fd | 2017-08-17 06:28 | 植物

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