2009年 03月 08日
万葉集その七十七(撫子:なでしこ)
といったところからその名があります。 古くから
「 草の花は なでしこ 唐のは さらなり
大和のも いとめでたし 」( 枕草子)
とあるように日本原産のものを「大和撫子」「河原撫子」、
中国伝来の石竹を「唐撫子」と呼んで区別していました。
「 野辺(のへ)みれば なでしこの花咲きにけり
我(あ)が待つ秋は 近づくらしも 」
巻10の1972 作者未詳
( 野原を見ると撫子の花がもう一面に咲いています。
私が待ち焦がれている秋がすぐそこまで来ているようです )
「 なでしこが 花見るごとに娘子(おとめ)らが
笑(え)まひの にほひ 思ほゆるかも 」
巻18の4114 大伴家持
(なでしこを見るたびに あの愛しい娘子の笑顔の
あでやかさが思われてなりません)
妻を都に置いてきた家持が越中の屋敷になでしこや
百合の花を植え、それに重ねて妻を偲んだもの。
「にほひ」とは笑顔の匂い立つような美しさをいいます。
「大和撫子」が優しい中にも芯の強さを秘めた日本女性を表徴する
言葉となるのはずっと後のことで江戸中期以降のようです。
撫子の属名は「ダイアンサス」といい聖なる花を意味します。
ヨーロッパでは古代ギリシャ時代から栽培され、
教会の飾り花に用いられました。
近代になり日本や中国原産の種子とヨーロッパ原産の種子との
勾配が重ねられ、遂に19世紀、今をときめくカーネーションが
誕生しました。
「 撫子や ちひさき花の けだかさよ 」
上村 白之
by uqrx74fd | 2009-03-08 10:56 | 植物