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万葉集その八百六十一(東歌:上野国)

上野国(かみつけのくに) 百合の里
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同上(群馬県太田市)
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榛名山 群馬県
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草津温泉 群馬県

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同上 勢いよく流れる湯
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同上
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風物詩 湯もみ (同上)
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温泉人形  同上
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昔懐かしいポスト  同上
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前橋薔薇園  群馬県
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万葉集その八百六十一(東歌:上野国)


「 紫蘇の実や 達磨干しある 上州路 」 石井大泉


上野は(かみつけ)群馬県全域を占める旧国名で、上州、上毛ともいわれます。


古代、毛野国が上毛野と那須、下毛野に分かれ、奈良時代上野、下野となり

その後、現在の群馬(上野)、栃木県(下野)に。


自然に恵まれた土地柄で万葉集では25首。

おおらかで明るい歌が残されています。


「 上つ毛野 まぐはし まとに 朝日さし

     まきらはし もな  ありつつ見れば 」

                    巻143407 作者未詳


   まぐはし まとに: 目妙(まぐは)し窓に 

まぐはし: 目にも美しく鮮やかな


   ま きら はし : ま(目)がきらきらとして、まばゆいさま

  

( 上野の 目にも爽やかな窓に 朝日が差し込んで、まぶしいように

  こうしてあなたに向かい合ったままでいると

  なんとも、まばゆくてなりません。)


方言のため難解ですが、美女を目の前にして

「 朝日が窓に射してキラキラするように、まぶしくてならぬ」

と照れる初心(うぶ)な男なのです。


「 伊香保ろに 天雲い継ぎ かぬまづく

        人とおたはふ  いざ寝しめ刀羅(とら)」

                  巻143409 作者未詳


伊香保ろ:伊香保の山、ここでは榛名山


かぬまづく:あれこれと「かまびすしくて」


人と :「と」は「ぞ」の訛り 人ぞ


     おたはふ: 「穏(を)たはふ」で

(噂が)静まるの意 

  

「刀羅(とら):人名 寅年に生まれた女性の愛称か


( 伊香保の峰に 天雲が次から次へとかかるように

  いつも うっとうしく目くじら立てている連中。

  その連中の邪魔もなくなった。

  さぁ一緒に寝てくれ、刀羅さんよ。)


ある山村に評判の美女がいた。

山で働く若者たちが寄ると触るとその話でもちきり。

誰かが少しでもちよっかいを出すと、すぐに目くじらを立てて怒る。


幸い今はうるさい連中もいない。

「お刀羅さんよ、俺と一緒に寝ようよ」と口説く男。


「 利根川の 川瀬も知らず 直(ただ)渡り

      波にあふのす 逢へる君かも  」 

143413 作者未詳


利根川:別名、坂東太郎


(波に)あふのす: あふ:出くわす 

「のす」:「なす」(如す)の訛り


( 利根川の渡り瀬もわきまえずに真っ直ぐに渡って、

いきなり 大波に出くわすように、

あの人にばったりと出会ったよ。)


何も考えないで歩いていたら好きな男にばったり出会い、

うれしさのあまり抱きついてしまったようです。

如何にも東歌らしい純朴な一首。


 「 伊香保嶺に 雷(かみ)な鳴りそね 我が上(へ)には

       故はなけども 子らによりてぞ 」

                巻143421  作者未詳


雷な鳴りそね:雷さんよ、鳴らないでくれ


我が上には: 我が身には


故はなけれど:怖くもなんともないが


子らによりて: よる(因る): 原因になる

        可愛いあの子が怖がるからさ


( 伊香保嶺の雷さん、どうか鳴らないでくれよ。

  おれは構わんが、あの子が怖がるからさ。)


「 世間の人たちよ、二人の仲をあれこれ喧しく言い立てないでくれ。

あの子が気にして離れていくと困るかな 」

と雷を世間の口に譬えたようです。


「 坂多き 伊香保の町や 榛芽(はんめ)吹く )佐野和子


上州群馬といえば赤城山に国定忠治、空っ風、達磨。

桐生の絹、下仁田の蒟蒻、葱、月夜野町の椎茸,林檎、館林のつつじ。


温泉は草津をはじめ磯部、霧積、伊香保川原湯、万座、鹿沢、

老神、水上と続々。

夏は谷川岳の登山、一ノ蔵沢のロッククライミング、

冬は万座でスキー。北軽井沢を控えた絶好の保養地です。


   「 草津の湯 匂ふ湯畑 山眠る 」 赤池貴のゑ


      万葉集861(東歌:上野国) 完


      次回の更新は1015日(金)の予定です。



by uqrx74fd | 2021-10-07 16:12 | 万葉の旅

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